狂犬病

京都市の60歳代の男性がフィリピンで犬に咬まれ、国内で狂犬病を発症したという。男性は意識不明の重体。国内で狂犬病が発生したのは1956(昭和31)年が最後で、翌57年以降国内では発症していない。例外としては1970(昭和45)年にネパールを旅行中の日本人旅行者が現地で犬に咬まれ、帰国後に発病、死亡した事例がある。厚生労働省は、狂犬病ウイルスは通常、ヒトからヒトへ感染しない為、この男性から感染が拡大する恐れはないとしている。
だが狂犬病は発病後の有効な治療法はなく、死亡率は100%。ただ、咬まれた直後や事前にワクチンを接種すれば発病は予防出来る。
狂犬病を発症すると発熱、頭痛、全身倦怠、嘔吐などの不定症状で始まり、咬まれた部分の異常感覚が起こる。更に、筋肉の緊張、痙攣、幻覚、嚥下困難などが起き、液体を飲むと喉が痙攣を起こす為、非常に苦しみ水を怖れるようになる。この為狂犬病を恐水病と呼ぶこともある。犬の遠吠えのような唸り声を上げ、大量の涎を流し、昏睡、呼吸麻痺が起き最後には死亡するという。
日本で狂犬病になることほぼ無いといっても過言ではないが海外では毎年3万5000〜5万人が狂犬病によって死亡している。狂犬病はアジアでの発生が大部分で、アジア、アフリカでは狂犬病の犬から多く感染し、南米では吸血コウモリによる家畜の狂犬病が経済的な被害を及ぼしている。北米およびヨーロッパ等ではヒトの狂犬病は少ないが、アライグマ、スカンク、キツネ、コウモリ等の野生動物の狂犬病を根絶出来ていないというから海外に旅行した際は野生動物や道端にいるノラ犬などに無闇に触れないほうがいい。