大琳派展−継承と変奏−

今日は午後から東京・上野にある東京国立博物館で開催されていた尾形光琳生誕350周年記念「大琳派展−継承と変奏−」を見に行って来ました。

本来なら同じ上野にある東京都美術館で開催されている「フェルメール展〜光の天才画家とデルフトの巨匠たち〜」を見に行くつもりでしたが、展示期間が今日16日までと云うことで、急嘘行き先を変えてしまいました。

この展覧会の趣旨は安土桃山時代から江戸時代に活躍した「琳派」を紹介したもので、特に本阿弥光悦俵屋宗達尾形光琳尾形乾山酒井抱一、鈴木其一の作品を通して琳派の“継承と変奏”を鑑賞するというものでした。

琳派(りんぱ)とは俵屋宗達尾形光琳らに代表される表現手法を用いる美術家・工芸家らを指す名称(スタイル)で、その先駆者と考えられる俵屋宗達本阿弥光悦らの「宗達光琳派」に始まり尾形光琳・乾山とその作風を継承した酒井抱一らの「光琳派」と併せてそう呼ばれています。

面白いのは「琳派」で著名な宗達光琳・抱一の3人の生存時期が違い直接の師弟関係が無く光琳宗達を、抱一が光琳を、それぞれ私淑し影響を受けている点です。

宗達と光悦は安土桃山〜江戸初期の芸術家で、共に作品を創作することもありました。その約100年後、光琳と乾山の兄弟が登場しますが、光琳は絵画を中心に、乾山は工芸を中心に芸術作品を生み出しています。その十数年後、姫路藩主の弟である酒井抱一が登場しそしてその後に酒井抱一の弟子として、鈴木其一が活躍します。

会場は流石、展示最終日だけあって人でいっぱいでした。

展示品の目玉は何と言っても4人が描いた「風神雷神図屏風」。

俵屋宗達の「風神雷神図屏風」とそれを模した尾形光琳の「風神雷神図」、更に尾形光琳を模した酒井抱一の「風神雷神図屏風」、そして鈴木其一の「風神雷神図襖」と琳派の「風神雷神図」が一堂に会していました。恐らく今後、このように一堂に会すことはないのではないでしょうか。圧巻でした。


【国宝】俵屋宗達筆「風神雷神図屏風


重要文化財尾形光琳筆「風神雷神図」


酒井抱一筆「風神雷神図屏風


鈴木其一筆「風神雷神図襖」

他にも国宝の本阿弥光悦作の「舟橋蒔絵硯箱」と同じく国宝の尾形光琳作の「八橋蒔絵螺鈿硯箱」が展示されていました。両方とも切手になったり歴史の教科書で一度は目にしたことのある作品です。


【国宝】本阿弥光悦作「舟橋蒔絵硯箱」


【国宝】尾形光琳作「八橋蒔絵螺鈿硯箱」


これとは別に伝俵屋宗達筆「桜芥子図襖」と鈴木其一筆「蔬菜群虫図」に魅かれました。



俵屋宗達筆「桜芥子図襖」

「桜芥子図襖」ですが画像では残念なことに小さくまとまってしまっていますけど実際には図襖だけあって大きな作品です。桜の花が繊細にたくさん描かれていて葉の重なり具合も美しく立体感がありました。頭上には薄い桜色が広がり、足元には紅色に近いピンク色の芥子(ケシ)の花が咲いています。本物のこの図襖を見るとその美しさに圧倒されました。


鈴木其一筆「蔬菜群虫図」
「蔬菜群虫図」は伊藤若冲筆「糸瓜群虫図」の影響が見られる作品で、胡瓜に添えられた竹に雀が止まり、昆虫が群がる不思議な秋の菜園を描いた作品です。


【国宝】尾形光琳作「燕子花図屏風」
唯、残念だったのは展示期間が過ぎていた為、国宝の尾形光琳筆の「燕子花図屏風」が見れなかったこと。こちらも一度は目にしたかった作品でした。

余り時間がなかったのですが他にも様々な素晴らしい作品が見られ「大琳派展」と謳っているだけあって素晴らしいかったです。

今日は行くことを止めた「フェルメール展〜光の天才画家とデルフトの巨匠たち〜」は近いうちに足を運ぼうかと思います。