一家悲惨

秋田県湯沢市の泥湯温泉で29日、東京都豊島区在住の東大大学院理学系研究科助手Mさん一家4人が雪の空洞内などに倒れた事故で、重体だったMさんも30日午後、収容先の病院で死亡した。死者は4人となった。
一方、県警は同日、空洞内などの実況見分をしたところ、穴の内部や周辺から人体に影響を及ぼす高い濃度の硫化水素ガスが検出された。司法解剖の結果、Mさんの妻と2人の子共の死因は急性硫化物中毒と判明。県警は、Mさんもガスを吸い込み中毒死したとみている。
湯沢署などに由ると、現場周辺は高さ約1.5メートル、奥行き十数メートルに亘って雪が積もっており、4人が発見された現場は、共同駐車場側から約12.5メートル先の直径約70センチの穴の内外。穴の下部は雪が地熱と下を流れる湯で解け、幅1メートル、高さ約50センチの空洞になって南北方向に延びていた。
穴の中では、Mさんの妻が、長男に覆いかぶさるように倒れ、二男は立った状態で意識を失って発見された。二男を引き上げようとしたMさんは、頭を下げた直後、意識不明になったという。

穴の近くからは、長男らが使っていた円盤遊具が発見されており、円盤を拾いに向かった長男が、空洞化した雪面に足を取られ落下、助けに行った母親や二男も次々と穴に落ち、ガスを吸い込んだとみられている。
実況見分の結果、穴内部の硫化水素ガス濃度は118ppm、雪の上でも130ppm検出された。8時間以上吸い込むと、気管支炎など死に至る可能性もあるレベルだが、Mさんが倒れた状況などから、県警は事故当時、呼吸停止の危険性がある700ppm程度だった可能性があるとみている。

泥湯温泉は栗駒国定公園内にあり、共同駐車場は秋田県が1992年に整備、湯沢市に管理を委託している。県に由ると、駐車場は春から秋までの利用を前提とし、駐車場脇のトイレは11月末に閉鎖、以後、駐車場全体が雪で使えなくなると想定。ロープで立ち入り規制するなどの対策を講じていなかった。
然し、駐車場は県道に面し、実際には除雪車がUターンに使う為、広いスペースが出来ていた。同市の観光振興課長は、今回の事故について「想定していなかった。その意味では危険を周知徹底することを怠っていた」と話している。県は30日、駐車場ゲートに通じる県道の冬季通行止め区間をさらに100メートル延長し、立ち入り禁止とした。
今までに事故がなかったのが不思議な位だ。誰も雪の下に空洞化した穴があるうえに硫化水素ガスが充満しているとは思わないだろう。温泉地は、こういった危険が孕んでいることになるのだろうか?年の瀬最後に来て悲惨な事故が起きてしまい何とも言えない気分ですな。