前代未聞

フィギュアスケートトリノ五輪代表最終選考会を兼ねた全日本選手権第2日(24日、東京・代々木第1体育館)でコンピューターの採点プログラミングの不備を理由に優勝者の表彰式終了後に1、2位の選手が入れ替わるという前代未聞の大失態が起きた。
男子フリー演技終了時は織田信成選手(18)=関大1年=が優勝と認定されたが、その後に織田選手の演技の減点部分が採点で引かれていなかったことが判明。織田選手から7.4点が減点され1位と2位が入れ替わり、高橋大輔選手(19)=関大2年=が優勝となった。来年2月のトリノ冬季五輪男子代表「1枠」は高橋選手で確実になったが、あまりに後味の悪い結末となった。
根本的なミスの原因はプログラミングではなく、採点システムの更新を不要と判断した日本スケート連盟と、ジャンプの回数を見落とした技術役員の人為的ミスによるもの。
今回問題となったのは織田選手の3回転ジャンプ。国際スケート連盟(ISU)では「3回転ジャンプは2種類2回まで」と定めており、織田選手は3回転ジャンプを3種類2回ずつ跳んだため、本来、最後に跳んだ3回転ジャンプは採点の対象外となる。従って国際スケート連盟(ISU)が使用しているコンピューターは、このような場合、自動的にこのジャンプを採点の対象外とするが、日本スケート連盟はそのようなケースを想定せず、コンピューターに同様の機能を持たせていなかった。仮に、こういった事態が起きた場合、「計算前に誰かが気づくだろう」との思い込みにも立っていたようで、国際スケート連盟(ISU)のコンピューターを導入しない背景を、日本スケート連盟の小野長久フィギュア部長は「高額で、英語表示のため、日本国内では使いにくい」ためと説明したが、日本で使うコンピューターも当然同じものにしておく必要があったはずで、日本スケート連盟の釈明は単なる苦しい言い訳に過ぎない。更に採点のチェック役のテクニカルコントローラー城田憲子フィギュア強化部長)が減点を見落とした。日本スケート連盟の見通しの甘さ、採点段階でのチェックを怠り、まさに人為的なミスにより、起こった“悲劇”としか言いようがない。
小野同委員長は会見を開き「大変に遺憾で心からおわびしたい。織田選手にも、高橋選手にも申し訳ないことをした」と謝罪しているが、全日本優勝、更に4年に1度の五輪代表が掛かる大事な試合での日本スケート連盟のミスは、選手の人生を左右しかねない上、逆転裁定を聞いて泣き崩れたという織田選手の心の傷は一生消えまい。五輪出場を掛けた大一番での日本スケート連盟が犯した罪はあまりに重い。全員、腹を切って償え!!って言いたい。