インフルエンザ治療薬「タミフル」

米食品医薬品局(FDA)は17日、インフルエンザ治療薬「タミフル」が日本で使用承認された2000(平成12)年以降、同薬剤を服用した日本人の14歳以下の子供12人が死亡していたとする報告書を発表。この報告書は、2004(平成16)年3月から今年4月迄の間、日本、米国、カナダで報告された異常例を集めたもので、18日に開かれるFDAの小児科諮問委員会に提出される予定。日本の事例については、2004(平成16)年3月以前に発生したものも含まれている。更にFDAは、「死亡事例とタミフルの因果関係の判断は究めて困難」としながらも、「異常な事態」として、製造元のスイス・ロシュ社と日本の保健当局が提出した資料に基づき今後の対応を協議する方針だ。
FDAの発表した報告書に由れば、死亡した12人の年齢は、2、3歳が最も多く7人。死因は、突然死が最も多く、次に心肺停止。更に意識障害に急性膵炎、肺炎、窒息死などの報告もあるという。亦、日本ではこの他に、異常行動などの神経精神医学的症状が31件(各国全体で32件)、薬疹や比較的重い皮膚異常が11件(同12件)報告された。10代の少年2人がタミフル服用後に異常行動を起こし死亡した例も報告されているが、因果関係については専門家の間で意見が分かれているとのこと。FDAの基準では、タミフルは1歳以上のインフルエンザ治療と、13歳以上では予防用としても使用が認められているが、FDAは、タミフルの世界全体の流通量の半分以上を日本が占めていることを指摘した上で、「日本の基準も米国とほぼ同じで、欧米人と日本人の間では、服用量に対する反応に違いがあるとは考えにくい」と指摘している。
厚生労働省は、FDAの発表を受けて16歳以下の死亡例を13人と把握していると発表。そのうち8人については、服用との因果関係がないと否定。残りの5人については、副作用か如何か専門家の間で見解が分かれている為不明としている。因果関係が確認出来なかった5人のうち、4人については、愛知県内の男子中学生(当時14歳)が服用後に自宅マンションの9階から飛び降りたと報告されたケースなど、既に国内で報道され、「タミフルの副作用とまでは言い切れない」という専門家の見方もある。残る1人は、医師の協力が得られないなどの理由で因果関係が未確認。亦一方では、因果関係が否定された8人については、タミフル服用後に死亡していたが、併発した肺炎や喘息、腎機能障害など、インフルエンザとは無関係な病気が死因と判断された。
日本でのタミフルの流通量は世界で最も多く、世界全体の7〜8割にあたる年間800万人から1000万人分の処方されているため、厚生労働省安全対策課は「関連は否定出来ないが、例え副作用だったとしても、特に多いとは言えない」として、現時点では緊急安全性情報を出す必要はないとみている。
世界各地で発生しつつある鳥インフルエンザに由る死者のニュース。こんな時に俄に湧き上がった「タミフル」の副作用に由ると思われる死亡報告。因果関係は専門家に依って見解が分かれている為に、はっきりしたことは分からないが唯一、鳥インフルエンザに効果があるといわれているタミフル。果たして今後、患者達に与える影響がどの位あるのかが気に掛かる。亦、何故、死亡例が日本だけに、然も16歳以下の子供達に集中しているのかも疑問を感じる。