制圧目前

厚生労働省の全国調査の調べで、はしか(麻疹)に罹る子供が激減していることが分かった。2001(平成13)年には約34,000人の患者が報告されていたが、昨年から急激に激減。18歳未満のはしか(麻疹)の患者数は、小児科のある全国の主な医療機関、約3,000箇所が毎週、国に報告している数から、今年は、10月16日現在で患者報告数が557人で、2001年の同時期と比べて約60分の1に減ったそうだ。日本小児科学会が全国に勧める運動、推進して来た1歳児へのワクチン接種が広がった成果と見られ、小児科医の長年の夢だったはしか(麻疹)の制圧が、遂に視野に入ったとのこと。
はしか(麻疹)は、感染力が非常に強く、流行を抑えるのに95%の接種率が必要と言われおり、国が勧めるワクチンの定期接種期間は1〜7歳半までだが、最も罹り易い1歳児の接種率が約5割と低い点が問題視されていた。欧米では、日本人渡航者のはしか(麻疹)の持込が目立つ為、小児科医等からは「はしか(麻疹)の輸出国」と非難の声が出ていたそうで、このため昨年1月に厚生労働省がワクチン接種を特に勧める期間を「1歳の間」から「1歳3ヶ月まで」に変更したほか、市町村での1歳半健診でも接種を勧める動きが広がり、こうした運動が奏功し、都市部を中心に1歳児半の接種率が上がったことが、患者が激減した原因とみられている。
来年4月には、単独で打つはしか(麻疹)ワクチンの定期接種は、風疹ワクチンと混合した「MRワクチン」に変更され、1歳と5歳から小学校入学前までに打つ2回接種が導入される。2回接種が一般的な北欧では、外国人以外のはしか(麻疹)の患者は、殆んど発生しなくなったとか。
国内では、ワクチンによる副作用などで死者が出たこともあり、1994(平成6)年の法改正でワクチン接種の義務を撤廃した。このことによりワクチン全般への感心が低下した為、はしか(麻疹)や風疹、高齢者のインフルエンザなどの流行を招いてきた。
今回の結果により、はしか(麻疹)の患者数の推移は、国民がワクチンの重要性を理解することがいかに必要かを示す好例と言えそうだ。