正露丸

一度はお世話になったことのある胃腸薬「正露丸」が今年、100年ぶりに自衛隊の装備品に復活したというが、これと云って話題にするようなことではないと思うのだけれど。
要するに日露戦争時に陸海軍の装備品だった「正露丸」が100年ぶりに防衛省の装備品として採用されたと云う点を強調したかったのだろう。
ご存知の通り「正露丸」は日露戦争前、腸チフスなど感染症の予防のため、当時の陸軍軍医学校が開発したのが起源とされ、服用を奨励するため、ロシアを征服するという意味を込めて「征露丸」と名づけられた。日露戦争終結後に製造販売が民間業者に開放され、日本軍は1906年に装備品としての配給を廃止した。日露戦争ならびに第二次世界大戦終結後、国際信義上「征」の字を使うことには好ましくないとの行政指導があり正露丸と改められたが、奈良県の日本医薬品製造株式会社だけは現在も一貫して征露丸の名前で販売を続けている。
現在もなお中華民国中華人民共和国、韓国などアジア諸国からの渡航者の土産物として珍重されているという。