約9カ月で3人交代

久間章生防衛相が原爆投下に関する発言で引責辞任したことで、安倍内閣は発足から僅か約9カ月で3人の閣僚が交代する異常事態となった。小泉政権の5年5カ月間で辞任した閣僚が4人だったのに比べると、安倍内閣の9カ月間で既に閣僚辞任が2人、自殺による交代が1人というのは、可也のハイペースといえる。
論功行賞で起用した閣僚が問題を起こす度、安倍晋三首相が擁護するパターンが今回も繰り返された訳だが、結局最後は参院選への影響などを憂慮した与党の包囲網に辞任を余儀なくされた形だ。久間防相を庇って対応が後手に回った首相の判断と任命責任が改めて問われそう。
思えば佐田玄一郎行政改革担当相が事務所経費の不透明な処理の発覚で昨年末に辞任したことを発端に、松岡利勝前農相は資金管理団体が高額な光熱水費を計上していた問題で批判を浴び5月28日に自殺。両前大臣とも久間防相と同じように総裁選時の論功行賞で入閣し、首相が擁護した末に佐田前行政改革担当相は辞任、松岡前農相は自殺という結末を迎えた。他に「女性は産む機械」発言で辞任が取りざたされた柳沢伯夫厚生労働相も論功行賞人事で入閣した組。
それにしても安倍首相、6月30日の久間発言の直後には「米国の考え方の紹介」と問題視しない姿勢を見せたかと思えば(状況が不味いと思ったのか)翌日には一転して「国民に誤解を与える発言は厳に慎まなければならない」と軌道修正するという対応の迷走ぶりには政権の危機管理能力も改めて問われるべきだ。然し不可解なのは何故、原爆の被害を受けた地元長崎県出身である久間章生防衛相があのような失言をしたのだろうか。あんなことを言えば確実に反発を食らうのは分かっている筈だし、況して参議院選も近く年金問題では逆風が吹いていると云うのに。自民党公明党は頭が痛いことでしょう。失言する大臣がアホなのかそれともその大臣を選んだ安倍首相がアホなのか。国民に言わせれば五十歩百歩と云ったところか。つまりどちらともアホと云うこと。