歴史に幕

鉄道を中心に車や航空機など様々な乗り物を展示し、幅広い世代に親しまれてきた交通博物館が14日、老朽化などを理由に閉館し、85年の歴史に幕を閉じた。
この日は、鉄道ファンや親子連れら1000人以上が早くから列をつくり、開館時間が1時間繰り上げられ、午前8時半にオープン。大勢の人が建物をバックに写真を撮るなどして別れを惜しんだ。
同館は、鉄道博物館として、1921(大正10)年に東京駅北側に開館し、1936(昭和11)年に現在の旧万世橋駅の隣接地に移転。大型の鉄道模型のパノラマや運転体験できるシミュレーターなどが人気を集めた。
来年10月には、さいたま市に新設される鉄道専門の博物館として、生まれ変わる。
亦、松本清張氏の代表作の一つ、「点と線」(1958年)に登場する西鉄香椎(かしい)駅の駅舎が高架化工事で取り壊されることになり、駅舎の最終営業日の13日、約80人が名残を惜しんだ。
「点と線」は香椎の海岸で起きた男女の心中を、刑事が殺人事件と突きとめるストーリー。西鉄香椎駅は殺された女と犯人の男が降りた駅だった。
この日は、松本清張氏の故郷、北九州市を拠点に活動する「清張の会」が「お別れ会」を企画。参加者は、作品が書かれた当時の姿を残す駅舎の前で記念写真を撮影するなどした後、登場人物と同じように、駅から海岸付近まで歩いた。
参加した地元の男性は「『点と線』の舞台がなくなるのは寂しい。でも、多くの人が駅のことを覚えていてくれて、地元住民としてうれしい気もする」と話していた。