紛失・不明

姉歯秀次元1級建築士に因る計算書改ざんが発覚した昨年11月以降全国で分譲マンションを建設、販売してきた独立行政法人都市再生機構」は構造計算書の開示を求める住民の要請が84件寄せられたのに対し、34件だけしか応じられていなかったことが分かった。機構の内規では、計算書は「永久保存」が義務付けられているが、残り50件は紛失したり行方不明になったりしており、建物の安全性への信頼性が揺らぐ中、計算書を紛失したマンションは資産低下の恐れがあり、機構のずさんな管理体制に批判が集まりそうだ。
尚、機構は計算書を紛失したマンションは資産低下の恐れがあることから一切マンション名や所在地は答えられないと説明している。機構を巡っては、東京・八王子市のマンション群(46棟)で鉄筋不足などの深刻な手抜き工事が発覚し20棟余りを建て直す事態があったばかりだ。
都市再生機構」は前身の公団時代を通じ、1956(昭和31)年以降、現在までに全国1326団地で分譲住宅を販売。全ての構造計算書の永久保存を義務付けている。模範を示すべき公的機関がこのようでは住民の不安は大きくなるばかりである。住民からの要請が84件だけだったがこの他にも計算書を紛失したマンションは沢山あると予想される。この際、マンションの住民は徹底的に「都市再生機構」へ構造計算書の開示を求めた方がいいと思う。