エビ大王

今日、渋谷青山にある青山劇場に筧利夫さん、サエコちゃん主演の舞台『エビ大王』を観に行って来ました。名前からして『エビ大王』とは、なんぞや?と思ったのですが、韓国の神話『パリデキ説話』を元にした戯曲なんですな。エビ大王役には筧利夫さん、パリデキ役にはサエコちゃんが演じています。

大体の物語の粗筋ですが、ある国を治めていた大王(エビ大王)は、世継ぎの息子を願っていたが、これまでに産まれた7人の子供は皆女ばかり。7番目の末娘(パリデキ)を川に捨ててしまうところから物語は始まります。ある夜、エビ大王は来世からのやって来た使者、日直使者と月直使者に「寿命が来たので迎えに来た」と告げられるが、大王は息子を儲けるまでは死ねないと懇願。使者達は、命の猶予を与える代わりに一日30人の民を殺さなければならぬと言い放つ。エビ大王は息子が出来るまでは、と承諾するも国は様々な内乱を孕んでいくのである。日直使者役の河原雅彦さん(ともさかりえさんの旦那)と月直使者役の橋本じゅんさんのコンビが、話を面白くしていました。橋本さんの七変化が笑えたし、河原さんが飛んだのも吃驚した。
一方、エビ大王に捨てられた7番目の末娘・パリテギは、年老いた老夫婦のもとで成長していった。然し育ての母親が病の為、僅か三俵の米で身を売られてしまう。売られて嫁に行った八道軍の家は、エビ大王によって焼かれてしまう。パリテギは、八道軍の末息子・末将勝(佐藤アツヒロ)と結ばれ男の子を儲ける。然し男装した実の姉(佐田真由美)に夫である末将勝と息子を奪われ、一人取り残されてしまう。産土後宮では、息子を授かる策が見付らず半ば放心状態のエビ大王。そこに例の使者が現われ「父に捨てられ、夫に捨てられ、息子に捨てられる運命の女が、エビ大王の息子を産める」と告げられる。パリテギの姉役の佐田真由美さんは凛とした気の強い娘役が嵌まっていました。エビ大王に必死に受け入れて貰おうとしても、娘であるという理由で受け入れて貰えず大王に殺されてしまう悲しい役でした。八道軍の末息子・末将勝役は、元光ゲンジのメンバーだった佐藤アツヒロくんが演じており立ち回りの演技はなかなかでした。
国の為にエビ大王の息子を産む運命を受け入れるパリテギ。エビ大王とパリテギの出会いが運命だったのか・・。関係を結びそうになる、すんでのところで互いの素性が明らかになり愕然とするエビ大王エビ大王は己の罪の深さを悟り「殺せ」と家来に命じ、自らの命を絶つのだった。そんな感じの物語でした。
動き、アクションはダイナミックで、楽しめました。然し、座席は1Fで前だったにも関わらず端だったので、スピーカーが陰になり、見えない部分があったのは残念でした。これで一応S席なんですけどね。

筧利夫さんは、流石、舞台俳優出身だけのことはあって迫力がありました。エビ大王の執念、妄執というか、一寸狂気っぽい所、大王である自分への自信に満ちていた様な感じを受けました。流浪時の窶れぶりに最後の最後で念願が叶ったと思った瞬間に実は初めから自分の願望が叶わぬことだったと知る絶望感。そこから目覚める娘に対しての愛情という様々なギャップを熱演していました。サエコちゃんも今回、舞台が初めてとは思えない位に生き生きと演じていました。2時間15分の開演時間でしたがとても短く感じました。ストーリーには男尊女卑の部分があり女性に不快感を与える部分もありますが観て良かったと思います。最後に佐藤アツヒロくんがサエコちゃんの胸をわし掴むのが一寸羨ましかったりして(笑)
そうそう、それと表参道駅にあった長澤まさみちゃんのカラリオ年賀バージョン篇のデカ看板があったのは見っけものでした(笑)