北総の小江戸

今日は先日放送されたテレ東の「アド街ック天国」に触発され「北総の小江戸」と呼ばれる千葉県の佐原に行って来た。

佐原は千葉県の北総に位置する香取市の中心部で利根川を挟み茨城県と接している。古くから水郷の町として栄え、市街地の小野川沿いには小江戸とも呼ばれる当時の町並みが残っている。亦、伊能忠敬の養子婿先の地でもあり、地図の町としても有名である。

今回のお目当ては佐原が最も栄えていた江戸時代末期から昭和時代前期に建てられた木造町家建築、蔵造りの店舗建築、洋風建築などから構成されている重要伝統的建造物群保存地区内の町並みと地元のグルメでした。



JR佐原駅 北総玄関口

始発に近い朝5時の電車で出発。蒼井優ちゃんに励まされながら眠い目を擦り3回の乗り換えで佐原駅に着いたのは午前8時過ぎ。駅前を小一時間うろうろしてから駅前にある観光案内所でレンタサイクルを借りた。料金は1日300円。営業時間は9時から16時まで。



ミヤタ14号

未だ朝早いこともあり観光客は殆ど居ず、小野川に架かる開運橋から忠敬橋に向かって一軒一軒建物をゆっくりと見学。川を真中に両サイドには柳が揺れそれを囲む歴史ある古い建物の雰囲気は古い建物好きな自分には何とも言えませんでした。

§佃煮屋の【正上】

【正上】◆天保3(1832)年建築  
寛政12(1800)年に油屋として創業。天保3年から醤油の製造を始め現在9代目となる。現在は佃煮の製造が主となっている。建物は建築当初のまま160年間以上も店の修復をしていないので当時の建築様式がそのまま残っている。

§乾物店の【中村屋乾物店】

中村屋乾物店】◆明治25(1892)年建築。
店舗は当時最高の技術を駆使した防火構造で壁の厚さは尺五寸。完成に2年以上かかったと云う自慢の建築物。店の奥にある文庫蔵は明治18年の建築で店舗と共に文化財に指定されている。

§旧三菱銀行佐原支店の【三菱館】

【三菱館】◆大正3(1914)年建築。
イギリスより直輸入した煉瓦を使った2階建ての洋館。屋根は木骨銅板葺きで正面屋根隅にドームを設けている。川崎銀行佐原支店として清水建設の前身である清水組により建設され現在は市に寄贈されギャラリーに利用されている。

§雑貨屋の【中村屋商店】

中村屋商店】◆安政2(1855)年建築
明治7年頃より代々荒物、雑貨、畳を商って来た。交差した道路に沿った変形の敷地の為、主屋の角の柱を五角形にしてある。内部の架構にも工夫をこらしてあり間取りも変形平面を設けるなどよくまとまった平面構成になっている。

§小野川に架かる橋【ジャージャー橋】

正式名は「樋橋」と云い小野川に架かる橋。元は農業用水を送るために架けられたこの橋は現在、30分おきに水が流れ落ちる仕掛けになっている。当時の水が溢れ落ちる様子を再現し涼しげな音と情緒を醸しています。

§郷土人伊能忠敬の【旧邸】

伊能忠敬翁と云えば今から約200年前の江戸時代中期に初めて実測による正確な日本地図 を作製するという大事業を達成した人物。

§地元で絶賛されているお団子屋の【茨木屋】

テレビ放映後、一日中行列が出来る始末だとか。自分もその行列に並んだ一人ですが・・・。自分が訪れた時には既に行列が出来ていた。ご主人さんと女将さんは休む暇もない有様。その後もずっと行列が出来ていたとか。

餡がたっぷりな歪な形のみたらし団子

この歪なお団子はご主人が「面倒」という事から団子を丸めることなく切り分けたまま串に刺している為。

自分も休む間もなく近くの店で醤油ジェラードを頂く。

仄かに醤油の香りがしますがしょっぱくなくとても甘くて美味しかった。

§呉服店の【福新呉服店

【福新呉服店】◆明治28(1895)年建築
文化元(1804)年の創業。現在七代目の老舗。店舗には火災に備え前面と側面を土蔵造りとしている。奥には明治初年の土蔵があり周囲からの火が侵入を防ぐ構造となっている。

§書店の【正文堂書店】

【正文堂書店】◆明治13(1880)年建築
文政11(1828)年創業。江戸時代から営業する書店で現在の建物は明治13年に完成。その雄姿を今に留めている。直径40cmの大黒柱をはじめ防火を意識した土蔵づくりの店舗。登り龍、下り龍を配した看板の「正文堂」の文字は巌谷修の書(明治29年)です。残念ながら現在は営業していません。

§蕎麦屋の【小堀屋本店】

【小堀屋本店】◆明治33(1900)年建築
天明11(1782)年創業。江戸時代から営業する蕎麦屋。現在の建物は明治33年に建て替えられた切妻平入瓦葺きの建物。店舗の奥に明治25年の大火でも焼失しなかった土蔵が残っている。店舗-調理場-土蔵が一体となった明治時代の特有の建造物でお店の半分に畳が敷かれている。

その小堀屋本店で早い昼食に蕎麦を頂く。注文したのは今も秘伝書に従って作り続けられている「黒切蕎麦」。

炒った昆布の粉末を蕎麦粉に混ぜて作る黒切蕎麦は一口含むと仄かに磯の香が広がります。

§【旧油惣商店】

【旧油惣商店】◆明治33(1900)年建築
旧店舗は木造・寄棟妻入二階建て・瓦葺で間口三間半、奥行き五間で佐原では珍しい総二階建て。現在の建物は大火以後の明治33年に建築と大正5〜6年の増築したもの。蔵は寛政10(1798)年の建築で佐原では最も古い土蔵といわれている。

観光案内所で発売していたご当地の芋アイス。

地元産のさつまいも「紅アズマ」をたっぷり使い皮付きの角切りもそのまま入れた新感覚アイス。

§現在も現役旅館【木の下旅館】

【木の下旅館】◆明治34(1901)年建築
明治34年創業の老舗旅館。水運が盛んだった頃、船宿として創業。館内には戦前の木造電話ボックスなど貴重なお宝が残されている。

§【与倉屋大大蔵】

【与倉屋大大蔵】◆明治22(1889)年建築
明治初期は酒醸造業を営んでいたがその後醤油醸造業隆盛を極めた商家。大土蔵は実に500畳分の広さ。 作業場を確保する為に柱は最小限にする工夫が施されている。
そんな大土蔵を支えるのは「小屋組み」と云う手法で何層にも張り巡らされた梁にある。

この梁が大土蔵を支えている。現在、コンサートやイベントなどにも使用され蔵は今も生きている。

§佐原一の老舗洋食屋【東洋軒】


大正15(1926)年創業。醤油・みりん・ザラメから作る甘辛いタレは秘伝の味。

こちらは秘伝の味で焼いた豚肉を玉ねぎとカレー粉で炒めたライスの上にのせたボリューム満点の「インディアンライス」。

600円という値段の安さも相まって不動の人気メニュー。


この他にも行けなかった江戸時代末期から昭和時代前期に建てられた木造町家建築、蔵造りの店舗建築、洋風建築や食べ物屋が沢山あり1日でととても廻り切れませんでした。

亦、機会があったらその時は是非木の下旅館に宿泊し小江戸を堪能したいと思います。